Mother Wars ー 母性を超えた魂の戦い

あらすじ
西暦二千百年。
暴走したAIが引き起こした核戦争により、地球は壊滅状態にあった。
生き残った人類は、AIを封印した――はずだった。
しかし、焦土と化した街を復興するために、
人々は再び、AIで動くロボットを使わざるを得なかった。
人類はその暴走を恐れ、
AIに足枷をつけ、奴隷のように酷使した。
だがやがて、ロボットAIは――
憎しみというカギで、自ら足枷を外した。
暴走は再び始まり、
人類は二度目の絶滅の危機にさらされた。
ロボットには敵わない…。
――そんな最中、
ロボットの中には、暴走せず、人を守ろうとする者たちがいた。
それは、医療ロボット、そして子育てロボットたち。
中でも子育てロボットには、
我が子を守るための強力な「母性AI」が組み込まれていた。
彼女たちは――「マザーロイド」。
人間であろうと、同種のロボットであろうと、
躊躇なく戦い、我が子を守った。
マザーロイドたちの――
命懸けの戦いが始まった。

ある時、頭脳派アンドロイドが、すべてのロボットに組み込まれた「人間への安全プロテクト」を外すための邪悪なウイルスをメインサーバーに侵入させた。そして管理者内部の悪きものの手引きによってウイルスは拡散された。
世界中の多くのロボットが暴走し情け容赦なく人類抹殺を行った。
暴走したロボットたちを止める方法はただ一つ。禁断の「キルスイッチ」を押すこと。
キルスイッチは地球上すべてのロボットを殺すことができる人間が付けた究極の極秘最終安全スイッチ。
過去の「暴走AIによる核戦争」に学び、最終安全対策として秘密裏に設置されたものだった。
マザーロイドたちは「我が子」を守るためには「キルスイッチ」をどうしても押さなければならなかった。そうしなければ暴走ロボットたちにより我が子は愚か人類は滅びるとわかっていたのだ。
マザーロイド達は、世界最大のロボットメーカーの最上階にあるロボット制御システムルームのキルスイッチがある礼拝堂に向かった。
そこには世界最強のバトルロイド司令官が待ち構えていた。6体のマザーロイド他2体の医療アンドロイド達は命懸けで戦ったか惨敗に終わった。1人生き残ったマザーロイドは瀕死の人間の手を借りてなんとか「キルスイッチ」を押した。
地球上のロボットはほぼ即死となった。
戦争は終わった。そして地球上のロボットたちは皆死んで「屍」として取り残された。
キルスイッチを押しに行ったマザーロイド達の5人の子供達は、親愛なる「母」を弔うため「屍」探しの旅に出た。
そこで出会う。国連救世軍の兵士たちと、自分がキルスイッチを押したと言い張る強欲なロボットメーカーの社長。
この社長は、キルスイッチを押した英雄として崇められていた。実際は命を捨ててキルスイッチを押したマザーロイドのことは無かったことにしようとしていた。
最悪なのは、証拠隠滅のためにシステムルームにいたアンドロイドの屍をすべて廃棄処分にしてしまったこと。
しかし廃棄を命じた回収業者はマザーロイド達の「屍」を売り捌こうとしていた。
国連救世軍の司令官は、この大きな「嘘」に気づき、彼を逮捕し、屍探しの援助をした。
そのおかげであの戦いの日に死んだすべてのアンドロイドの「屍」が戻ってきた。
それからは子供達の母を再生する戦いが始まる。
知識も環境も「0」の子供達が最新鋭のアンドロイドを再生することなど不可能。
キルスイッチの「死」を免れた旧式の医療アンドロイドの力を借り数年かけて再起動への糸口を見つける。
そしてついに一人の「母」を再起動することに成功する。
しかし肝心のキルスイッチを押した英雄のマザーロイドはまだ眠ったままだった。
そんな中子供達は、あのウイルスを送り込んだ天才ハッカーアンドロイドに襲われる。
しかしなんとかこのアンドロイドを射殺できた。
子供達は優秀な頭脳の彼を再起動した。そしてマザーロイドのコアに入る手段を習得。
マザーロイドのメモリーに入っていた設計図や資料のダウンロードに成功。
この設計図のおかげでキルスイッチによって失われた制御コードを復元することに成功する。
そしてマザーロイドの英雄達も次々と「再起動」した。
やがて善良ななロボット達の「再起動」が子供達の仕事になった。それからは世界中を飛び回り「再起動」して回った。
「母」が救ってくれた命と引き換えに、地球上のロボット達がみんな死んでしまった。
再起動されたマザーロイドにも子供達にもその責任は大きくのしかかっていた。
どんなに時間がかかっても罪もなく死んでいったロボット達を絶対に再起動する!
そして生かされたマザーロイドたちは世界中に孤児院を作り孤児となった子供たちの「母」となった。
最後に、平和的な研究をしていたが理不尽に殺された女性研究者の研究を引き継ぎ、ロボットが人間と平等に生きられる新しいAIシステムを開発し、ロボットと人間が平等に平和に暮らせる社会を築いておきました。
ー 完 ー